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女の覚悟

貴方とと別れるくらいなら、生きてはいられない、そう呟くSの言葉を、そのときの私は深く考えてはいなかったのだ。

その言葉の真の意味を痛恨の想いとともに私が理解したのは、すべてが終わってしまった後だった。

明け方に軽い頭痛とともの目覚めた私は、ベッドに括りつけられ身動きできない自分自身を見つけた。

昨夜、Sと過ごす最後の夜のつもりで、飲んだワインに彼女はひそかに睡眠薬を混ぜていたようだ。

「私の昨日の言葉、覚えていらっしゃる?それはこういう意味なのよ・・・」

 Sは私の目の前で、いったいいつ用意したものか、一振りの短刀を取り出し、私のすぐ傍に正座した。

「私の覚悟をお見せするわ」

 そう言い放つと、彼女は白い下腹部に短刀を突き立てると、私の顔を凝視したまま、一筋の涙を流した。

「おい、何をするんだ!」という私の叫びと、「ブツッ!」という不気味な音が重なった。

 ベッドに無様に横たわった私の頬に、熱い血飛沫が降りかかる。

 ためらう素振りもなく、おのが腹をかき切っていく彼女の姿を、私は、すべてが終わったのだ、という痺れるような想いとともに、ただ、見守るしかなかったのである
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